ふていきびん　　不定期便　第64号　1995.2.1.　ガリじゃなく、WP・コピー版の僕の個人誌

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ひろせ しんじ：神奈川県藤沢市

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　大昔にも試してみて、見事うまくいかなかったけれど、月刊化というのをやってみようかな。今回、決定的に違うところは、毎号10部しか作らないで、しかも毎号全部を送らなくても良い、と決めてから始めよう。となると、ともかく原稿さえ上げればそれで可となるし、毎号はピラ１枚というのにして。

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　お正月号でたった１行書いた、お袋の老人性痴呆症の話、皆すごく気にしてくれたみたい。わざわざ皆に知らせて、どうこうという話ではないのだけれど。

　けど、この話、始めると「実は家も...」と言う話を聞く。皆も話しにくいから、「実は...」と言わないとはじまらない。

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　自分の回りに年寄りがいる人は沢山居て、その年寄りの 1/4位には痴呆があるというのだから、皆の身近にもあるのだと思う。と、なると、情報交換をして、より良い方法を手にいれたいものです。

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　僕の家の話を始める前に、本の話。

　今、有吉佐和子の『恍惚の人』読み直している。1988年に読んだのだから、７年振りのこと。で、この本出たのは、1972年。何と先見性の高い本か、と思う。実に良く書いてあって、すごい。しかも、小説として読ませる力があるのだからすごい。

　これは、アルツハイマー痴呆症の話なので、皆が同じ痴呆老人を抱えている訳ではないけれど、根っこは同じだよね。惚けてしまった人にどう対応するか、という問題。

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　個々の家の、個々の症例があって、それに対して個々の対応策があるのだと思う。で、僕の家の場合は、という話になる。

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　前号に書いたたった１行に対して、すでにいろいろアドバイスをもらっている。でも、僕はもっと情報が欲しいと思っている。

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　発症は、1992年９月（71歳の時）。一時は、着物を着る順番もわからなくなったし、料理もできなくなった。

　今は、随分良くなっていて、自分で風呂に入れるし、味噌汁位は作れる。

　惚けが回復するというのを、聞いていなかったので、奇異に感じていたのだけれど、アルツハイマーでなければ、進行しない、または、回復するのもあるの？

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　で、回復したといっても、なお変な部分はたっぷりあるのです。でも、ちょっと見には判らない位で、それがまた問題なのです。

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　普段、話していると、極く普通に見えることもあります。だから、ひどかった時の話をしても「信じられない」と言われることがあります。けど、やっぱ変で、その変なところでひっかかってもらうと、皆にも迷惑がかかるから知らせて置きたいという気持ちもあります。

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　おかしいことの一つに、「惚けた」と言われるのがとっても嫌で、惚けていることを隠そうとして繕うことです。そして、繕っているつもりで、ウソになってしまうのです。

　これがとっても困ります。

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　良く症状を知っている人は、言っていることと事実との違いを分かるし、事実じゃないな、と気がつくのですが、症状を知らない人は、本当のことだと思ってしまって、それで問題が起きてしまうのです。

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　困った話を一つ。 '94年の夏のこと、友達と一緒に旅行に行こうという話になって、さて切符を用意する段になったら、自分だけは座席指定は必要ない、と言った話。誰が、一緒に行く旅行で一人は指定席、一人は自由席なんてバラバラに行く人があるの？

　そんな判断をしていても、なお自分は友達と２人で旅行できると思っていたのです。（惚けているとは思っていない、ということなのでしょうか。この辺の説明をしてもらえたら、と思います。）

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　旅行を「やめさせられた」と凄く不満足に思っているみたい。でも、誰か身内が面倒を見れるようにして行くのでなければ、行かせる訳にはいきません。

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　まだまだあるのですが、おやじの入院騒ぎの大変話はまた別の機会に。

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「ふていきびん」は、ひろせしんじの個人誌。好き勝手な思いつきをそのまま書いて送ります。無理やり読んでもらうのは本意でないので、読みたくない人は、そう言ってください。